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僧帽筋の支配神経バリエーション

更新日:2023/06/21

僧帽筋の支配神経バリエーション

寝違えや肩凝りの原因の一因となりやすく、スポーツや筋トレ等でも重要視される事の多い僧帽筋。
一般的に支配神経は副神経(第XI脳神経)の外枝(運動神経)と頚神経叢の筋枝(運動と感覚神経)とで二重神経支配を受ける特徴的な筋肉とされいます。しかし実際のご献体を用いた臨床研究では、僧帽筋の神経支配には個人差があり複雑かつ多様な容態となっている事がわかった。

計47のご献体の僧帽筋の支配神経を調べた結果

・副神経と腕神経叢が3つの交通枝を形成しているタイプ : 47.1%

・副神経と腕神経叢の合流部に新しい神経叢が形成されているタイプ : 24%

・副神経と腕神経叢が合流しないタイプ : 22.5%

・頚神経叢のみが僧帽筋を支配しているタイプ : 6.4%

【余談】 胸鎖乳突筋との関係

僧帽筋と同じように二重神経支配を受ける筋に胸鎖乳突筋があるが、僧帽筋と胸鎖乳突筋は発生学的に単一であり、胎生7〜8週頃から徐々に二つの筋に分枝していく。

この分枝していく過程や、神経系が発達していく過程で様々な支配神経パターンとなるのかは不明であるが、一概に教科書通りに「支配神経は副神経と頸神経叢である」とは言い難い。様々な神経支配パターンがある以上、医療従事者は臨床的にあらゆる事が予測される事を考慮する必要がある。余談ではあるがこれら2つの筋肉の間を「後頸三角」と呼び解剖学的に重要な場所でもある。

まとめ

僧帽筋は脊柱や上肢帯に多大な影響を及ぼす筋肉であり臨床上問題となりやすい為重要である。

僧帽筋の支配神経は多種多様であり、個体差著しい。頚神経叢よりも腕神経叢の方が支配に深くかかわっているケースもよくみられている。

臨床上様々な可能性を考慮する必要がある。